雑節とは?2027年の一覧と日付・決め方、二十四節気との違い

先に結論:雑節(ざっせつ)は、国立天文台が毎年発表する暦要項で二十四節気と同じ表に並ぶ、季節の節目の日です。載っているのは節分・彼岸・土用・八十八夜・入梅・半夏生・二百十日の7種類で、2027年は節分が2月3日、八十八夜が5月2日、二百十日が9月1日です。社日や二百二十日を加える資料もあります。由来は中国の五行説、仏教、日本独自の暦注などに分かれ、「すべて日本生まれ」とはいえません。

まずはひとつ、「へぇー」を

八十八夜と二百十日は伊勢と縁の深い暦の日。国立天文台の展示解説によれば明暦2年(1656)の伊勢暦から載り、改暦で外されたあと復活したのも伊勢の船長の訴えによると『壬癸録』は伝えます。

編集:へぇ助

2027年の雑節カレンダー(暦要項に載る11の日付)

国立天文台が2026年2月2日に発表した令和9年(2027)暦要項から、雑節の行を取り出して決め方を書き添えました。土用は年4回、彼岸は春秋の2回あります。

雑節 2027年 決め方
土用(冬)の入り 1月17日 太陽黄経297度
節分 2月3日 立春(2月4日)の前日
彼岸(春)の入り 3月18日 春分(3月21日)の3日前
土用(春)の入り 4月17日 太陽黄経27度
八十八夜 5月2日 立春を1日目として88日目
入梅 6月11日 太陽黄経80度
半夏生 7月2日 太陽黄経100度
土用(夏)の入り 7月20日 太陽黄経117度
二百十日 9月1日 立春を1日目として210日目
彼岸(秋)の入り 9月20日 秋分(9月23日)の3日前
土用(秋)の入り 10月21日 太陽黄経207度

土用と彼岸は期間の初日(入り)の日付です。土用は立春・立夏・立秋・立冬の当日を迎えると終わり、2027年は冬と秋が18日間、春と夏が19日間です(当サイトで計算)。

二十四節気との違いは「物差しがひとつではない」こと

二十四節気は、太陽の通り道を15度ずつ区切った位置だけで24個が決まります。雑節には、次の3種類の物差しが混ざっています。

  • 太陽の位置:土用・入梅・半夏生。暦要項には時刻まで載ります。
  • 立春が起点:節分(前日)・八十八夜・二百十日。立春が決まれば、あとは日数の計算です。
  • 春分・秋分が軸:彼岸。中日と前後3日ずつの7日間です。宗派ごとの受けとめ方はお彼岸の時期と宗派による違いで紹介しています。

立春が起点の型には落とし穴があります。数える途中に2月29日をはさむうるう年は、立春が同じ日付でも八十八夜と二百十日が1日早まるのです。各年の暦要項で確かめました。

年 立春 節分 八十八夜 二百十日 ポイント
2024年 2月4日 2月3日 5月1日 8月31日 うるう年
2025年 2月3日 2月2日 5月1日 8月31日 立春が1日早い
2026年 2月4日 2月3日 5月2日 9月1日 平年
2027年 2月4日 2月3日 5月2日 9月1日 平年

2024年と2026年は立春が同じ2月4日なのに、八十八夜は5月1日と5月2日に分かれました。立春の日付そのものが揺れる理由は二十四節気の日付が動くしくみにまとめています。

何を「雑節」に数えるかは資料で違う

国立天文台が毎年発表する暦要項には、社日(しゃにち)と二百二十日が載っていません。社日は戦後に刊行された「暦象年表」から外れたもので、理由ははっきりしないと国立天文台の暦Wikiは書いています。立春から220日目の二百二十日は、雑節に数える人もいるという扱いです。本記事ではこの2つを参考として扱います。

そもそも「雑節」は、暦に載る呼び名としては新しく、同Wikiによれば明治20年(1887)の暦で初めて使われました。彼岸や八十八夜はそれより前の江戸時代の暦にすでに載っていたので、暦の日(暦注)が先にあり、まとめる名前が後からついた、という順番です。明治20年の時点の雑節には、社日も含まれていました。

ルーツはばらばら:「日本生まれ」とひとくくりにできない理由

もとの考え方をたどると、出どころはさまざまです。国立天文台の資料と辞典で確かめた範囲で整理しました。

雑節 もとの考え方 資料で確かめられること
土用 中国の五行説 五行は5つ、季節は4つ。余る「土」を各季節の終わりに割り当てた
社日 中国で土地の神「社」をまつる祭日 日本では、この日に地神講を開く地域が多いとされる
彼岸 仏教に由来する暦注 暦注としては日本で加えられたもの。中日を春分・秋分にそろえたのは天保暦から
半夏生 七十二候のひとつ 七十二候は中国生まれ。仮名書きの暦にも載った例外的な候
節分 季節の分かれ目 豆まきの源流には、中国伝来の宮中行事・追儺(ついな)が挙げられる
八十八夜・二百十日 日本独自の暦注 どちらも立春から日数を数える
入梅 梅雨の季節に入る目安 貞享3年(1686)の暦からは芒種と壬(みずのえ)の日をもとに決めた。明治9年の暦から太陽黄経80度

土用の日付の数え方とうなぎの習慣の経緯は土用の丑の日の決まり方と各地の習わしで取り上げています。

土地ごとに違う雑節の過ごし方

日付は全国共通でも、過ごし方は土地で違います(いまも続くかは地域によります)。

雑節 地域 習わし
半夏生 奈良盆地 半夏生餅(つぶした小麦ともち米の餅。小麦餅とも)を作る
半夏生 愛知県の南知多地域 かつてはタコを食べる風習(農林水産省)。タコを神に供える話では、吸盤のある8本の足を苗の根付きになぞらえる
社日 京都府の旧中郡(いまの京丹後市の一部) 「社日参り」:東から西へ社寺を順に巡り、締めくくりに入り日を拝む参拝(日本大百科全書による)
二百十日 富山市八尾 「おわら風の盆」(毎年9月1〜3日)。「風の盆」という呼び方には、風の神を鎮める豊作祈願の祭りとする説明と、地元で休みを「盆」と呼ぶことに由来するという見方が紹介されている(おわら風の盆行事運営委員会)

上の2行はどちらも半夏生の習わしで、奈良は小麦の餅、南知多ではかつてタコと、同じ暦日でも食べる物が土地で分かれます。二百十日の行は、稲の花が咲くころの台風に用心するという暦の意味と、祭りの名の由来の一説とが重なる例です。

雑節のよくある誤解

「入梅の日に梅雨入りする」

暦の入梅は太陽の位置で決まり、2027年は全国どこでも6月11日です。気象庁の梅雨入りは地方ごとに天候を見て判断され、季節が過ぎてから確定値も出ます。平年(1991〜2020年の平均)は沖縄が5月10日ごろ、関東甲信が6月7日ごろ。2026年の関東甲信は6月2日ごろ(確定値。速報では6月7日ごろ)で、暦の入梅より9日早い梅雨入りでした。

「二百十日の当日だけ用心すればよい」

1日限りの嵐の予告ではありません。国立天文台の暦Wikiの解説では、用心の目安は210日目の1日ではなく210〜220日目ごろの幅で、それは稲の花が盛りを迎える時期にあたるためです。

「節分は毎年2月3日」

立春が動けば節分も動き、2025年は2月2日でした。国立天文台によると、2021年の2月2日は1897年以来124年ぶりです。

もうひとつ、「へぇー」を

絵で読ませる南部絵暦の一つ、明治26年の盛岡暦では、八十八夜を鉢・重・鉢・矢の絵で、入梅を「荷奪い」の絵で表しました。はち・じゅう・はち・や、と声に出すと読める語呂合わせです。

編集:へぇ助

雑節についてのよくある疑問

Q. 2028年の日付はいつ分かりますか?

A. 暦要項は前年の2月に発表されるので、2027年2月の発表を待ちます。

Q. 半夏生は「夏至から数えて11日目」とも聞きますが?

A. 農林水産省の郷土料理の紹介ではそう説明しています。国立天文台は太陽黄経100度の日と定め、「夏至の約10日後」と解説しています。2027年は夏至が6月21日、半夏生が7月2日で、どちらも7月初めを指します。

Q. 社日の日付はどう調べればよいですか?

A. 十干が戊(つちのえ)にあたる日のうち、春分・秋分にいちばん近い日です。前後の戊がどちらも5日離れる年について、国立天文台の資料では、明治14年以後の暦は春分・秋分の瞬間が午前なら前、午後なら後をとっていました。暦要項にはないので、日の干支が入った暦で確かめます。

関連記事

出典・参考

※日付は国立天文台の暦要項(中央標準時)にもとづきます。習わしは地域・家庭によって異なり、本記事は資料にもとづく一般的な目安です。