土用の丑の日とは?なぜうなぎ?日付の決まり方と各地の習わし

先に結論:土用の丑の日は、季節の変わり目にあたる「土用」の期間中で、日の十二支が「丑」になる日です。土用は立春・立夏・立秋・立冬の直前に年4回あり、丑の日は12日ごとに巡るため、日付は毎年変わり、同じ土用の中に2回来る年もあります。夏の丑の日にうなぎを食べる習慣は江戸時代には行われていたとされますが、始まりのいきさつには諸説があり、平賀源内の発案という話は有名ですが、当時の記録による裏づけは見つかっていません。

まずはひとつ、「へぇー」を

丑の日は12日に一度、土用はおよそ18日間。だからどの土用にも丑の日は必ず入り、最初の丑の日が土用の始まりから6日目ごろまでに来た年は、12日後の「二の丑」まで収まるんです。

編集:へぇ助

まず日付から:年によって「1回の夏」と「2回の夏」がある

国立天文台が毎年公表する暦要項には、土用の入りと立秋の日付は載っていますが、丑の日そのものは載っていません。そこで夏の土用入りから立秋の前日までの間で、日の十二支が丑になる日を当サイトで数えると、次のようになります。

年 夏の土用入り 立秋(この前日で土用が明ける) 期間中の丑の日 回数
2025年 7月19日 8月7日 7月19日・7月31日 2回(入りの日が丑)
2026年 7月20日 8月7日 7月26日 1回
2027年 7月20日 8月8日 7月21日・8月2日 2回

2026年は、12日後の8月7日も丑の日ですが、その日は立秋で、土用は前日に明けています。そのため夏の丑の日は1回だけです。京都の下鴨神社も、土用の丑の日に行う御手洗社の例祭を2026年は7月26日と案内しており、計算と一致します。

「土用」と「丑」は別々の物差しでできている

土用=太陽の位置で決まる期間

土用は、節分や彼岸と同じ雑節のひとつです。古代中国の五行説(木・火・土・金・水)を季節に当てはめる考え方から生まれ、四季それぞれの終わりの時期を「土」の期間としたものとされます。つまり土用は夏だけのものではなく、冬・春・夏・秋の年4回あります。

現在の暦では、土用の入りを太陽の黄経(太陽が天球上を一周する道筋での位置)で決めています。黄経297度で冬、27度で春、117度で夏、207度で秋の土用に入り、明けはそれぞれ立春・立夏・立秋・立冬の前日です。長さは17日・18日・19日のいずれかになります。黄経で決める方式は明治二年の暦から始まりました(国立天文台)。立秋などの基準点については二十四節気の記事で一覧にしています。

丑=日に順番に割り当てられた十二支

十二支は年だけでなく、日にも子・丑・寅…と順番に割り振られてきました。12種類が一巡するので、丑の日は12日に1回やってきます。日ごとに付く暦の注記には六曜(大安・仏滅など)もありますが、こちらは旧暦の日付をもとに6種類を当てはめる別の仕組みで、丑の日とは連動しません。太陽で決まる土用と日の数え順で決まる丑を重ねるので、日付が毎年動くわけです。

うなぎと結びついた経緯:わかっていること・わかっていないこと

夏にうなぎで精をつけるという発想自体は古く、万葉集には、夏痩せした知人にうなぎを捕って食べるよう勧める大伴家持の歌が収められています。農林水産省の郷土料理紹介は、土用の丑の日にうなぎを食べる慣習が江戸時代に行われていたと説明しています。

一方で、「なぜ丑の日なのか」については決め手がありません。よく知られているのは、夏にうなぎが売れずに困った店が平賀源内に相談し、「本日土用丑の日」と張り出したところ繁盛した、という話です。ただ、この話を記録した同時代の資料は確認されておらず、出典としてよく挙げられる書物にも該当する記述がない、という指摘があります。大田南畝や江戸の鰻屋にまつわる話も伝わりますが、どれも決め手にはなっていません。

もうひとつ語られるのが、丑の日に「う」の付くもの(うなぎ・うどん・瓜・梅干しなど)を食べると夏負けしない、という言い伝えです。民間の縁起かつぎとして伝わるもので、始まりははっきりしていません。

よくある誤解を整理する

  • 誤解1「土用の丑の日は夏に1日だけ」:土用は年4回あるので、丑の日も季節ごとにあります。夏を指すことが多いのは、うなぎの習慣が夏に定着したためです。
  • 誤解2「平賀源内が始めたと記録に残っている」:有名な話ですが、当時の記録による裏づけは見つかっておらず、言い伝えとして受け止めるのが妥当です。
  • 誤解3「うなぎを食べれば夏バテしない」:うなぎは栄養のある食品として親しまれてきましたが、特定の食品だけで夏の体調不良が防げるわけではありません。体調管理は食事全体や睡眠、水分補給で整えるのが基本です。

うなぎだけではない:地域・神社・お寺ごとの土用の習わし

公的機関の資料や寺社の公式案内で確認できたものを、当サイトで整理しました。

習わし 主な地域・場所 内容 ねがい・ねらい
うなぎのかば焼き 全国(関東と関西で作り方に差) 関東は背開きにして蒸してから焼き、関西は腹開きで蒸さずに焼くのが一般的 夏に精をつける
土用のしじみ汁 島根県(宍道湖周辺) 土用のころのしじみは身が大きいとされ、この時期のしじみ汁が特に好まれてきた 夏場の滋養(夏バテ予防として重宝されてきたと紹介)
みたらし祭(足つけ神事) 京都・下鴨神社(神社) 土用の丑の日を中心に、御手洗池の湧き水に膝下まで浸かって進む 無病息災
きゅうり加持 香川・総本山善通寺(真言宗のお寺)など 名前などを書いたきゅうりに病を封じる祈祷を受け、後で土に返す 夏の病よけ

神社では「水で清める」、お寺では「きゅうりに病を封じる」というように、同じ土用の丑の日でも、行事の考え方は寺社の伝統によって異なります。きゅうりの祈祷は他のお寺でも行われており、日程や作法は各寺院の案内で確認してください。

うなぎ資源の現状(水産庁の資料から)

需要が集中する日だけに、資源の話題もよく取り上げられます。水産庁の資料(令和8年7月)から要点をまとめます。

  • 国際自然保護連合(IUCN)は2014年、ニホンウナギをレッドリストの絶滅危惧IB類に掲載しました。
  • 国内のウナギ供給量は2000年ごろの約16万トンをピークに減り、近年は6万トン前後です。
  • 日本・中国・韓国・台湾(チャイニーズ・タイペイ)の間で、養殖池に入れる稚魚(シラスウナギ)の量を制限する取り組みが行われています。
  • 2025年のワシントン条約締約国会議では、ウナギ属全種を規制対象に加える提案が否決される一方、各国に保存管理を促す決議が採択されました。
  • 卵から育てる「完全養殖」は2010年に世界で初めて成功していますが、人工稚魚の生産コストは天然稚魚の取引価格より高く、大量生産の技術開発が続いています。

もうひとつ、「へぇー」を

うなぎは夏の味覚と思われがちですが、天然ものは、冬眠に備えて脂をたくわえる秋から冬が旬とされます。夏に食べる習慣とは、じつは季節がずれているんです。

編集:へぇ助

土用の丑の日についてのよくある疑問

Q. 自分で今年の日付を調べるには?

A. 国立天文台の暦要項で夏の土用の入りと立秋の日付を確認し、その間にある丑の日を、干支の入った暦や日の干支を表示できるカレンダーで探すのが確実です。

Q. 一の丑と二の丑、どちらが正式ですか?

A. どちらが正式という決まりはありません。どちらも同じ「土用の丑の日」で、1回目か2回目かを区別するための呼び名です。

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出典・参考

※日付は年ごとに異なり、由来には諸説があります。本記事は特定の食品の健康効果を示すものではありません。