鳥居とは?名前の由来・形と素材の違いを資料で比較、海に立つ大鳥居の仕組みも

先に結論:鳥居は、ここから先が神さまの領域だと示す境目のしるしで、神社の入口のほか山や川などの聖域にも立ちます。名前の語源や起こりには定説がなく、形の分け方も資料ごとに物差しが違うため、部位を上から順に見るのが見分けの近道です。素材も木・石・鉄筋コンクリートとさまざまで、海に立つ厳島神社の大鳥居のように、立ち方そのものに工夫が詰まった例もあります。

まずはひとつ、「へぇー」を

大宮の氷川神社の参道に立つ朱色の第二鳥居は、もとは明治神宮の初代大鳥居。台湾産の檜の白木で1920年に建ち、落雷で傷んだのち贈られて、ほかの鳥居に合わせて朱に塗られました。

編集:へぇ助

鳥居が示すのは「ここから先」という線

神社本庁の案内でも、鳥居の内側は神さまの領域として扱われます。区切りを示す門なので、建つのは神社の入口に限りません。日本大百科全書は、山・川・陵墓などを区切る場所に建つ例も挙げています。

鳥居が、神さまのいる場所そのものを指し示す役目を負うこともあります。神社本庁が挙げるのは、本殿を持たず山などを拝む神社での例です。

鳥居で礼をする場面は、入るときと帰るときの2回あります。神社本庁の案内を読み比べると扱いの強さに差があり、入る前の礼は丁寧な作法として示され、帰りの礼はそうするとよいという勧めの書き方です。全体の順番は「鳥居から帰りまでの参拝の流れ」で扱っています。

「とりい」の語源は、資料で推す説が違う

言葉そのものは古く、延喜22年(922)の和泉国大鳥神社の流記帳に「鳥居肆基」とあるのを、精選版 日本国語大辞典が用例に挙げています。語源の説とその評価は、資料ごとに違います。

説 挙げている資料 資料の評価
鶏居(鶏がとまる) 東京都神社庁、改訂新版 世界大百科事典、日本大百科全書 日本大百科全書は一般の理解としつつ、諸説ありとする
通り入る 同上の3資料 日本大百科全書は確証がないとする
門居(かどすえ) 改訂新版 世界大百科事典 有力な説とする
止処(とまりい) 日本大百科全書 確証がないとする

門居説を推す世界大百科事典も、起源・語源に定説はないと断っています。形の起こりについては、神社本庁が天の岩屋(岩戸)の神話で鶏が止まった木とする説と外来説を紹介し、日本大百科全書も外来・在来のどちらとも定まらないとしています。

形の分け方は、資料ごとに物差しが違う

神社本庁は、鳥居の種類を一説に60数種類としています。いちばん上の横木を笠木、そのすぐ下に重なる横木を島木(しまぎ)と呼びます。

資料 物差し 分けた結果
神社本庁 笠木の線(代表例で説明) まっすぐな神明鳥居と、両端が反り上がる明神鳥居
東京都神社庁 成り立ちの系統 神明系と、飾りを加えて発展した明神系(全国に多いのは明神系)
デジタル大辞泉 島木の有無 あり=明神鳥居の系統、なし=神明鳥居の系統
日本大百科全書 島木の有無 なし=神明鳥居、あり=島木鳥居。反りのない春日鳥居は明神鳥居と分ける
改訂新版 世界大百科事典 型ごとの特徴 神明・鹿島・八幡・明神・両部の5類型

同じ島木の有無で分けても、島木のある鳥居の呼び名は「明神鳥居の系統」と「島木鳥居」に分かれます。正誤ではなく、区切り方の違いと考えると混乱しません。

上から下へ、見分けどころを追う

高い所から順に目を移すと、違いに気づけます。

見る位置 目印 型の名前・例
笠木の上 三角の屋根形(破風)が載る 山王鳥居(明神鳥居に破風を加えた形)
笠木の切り口 五角形か四角形に削る 伊勢神宮の鳥居
笠木・島木の線 反る/反らない 明神鳥居/春日鳥居
柱の上端 丸い座の台輪(だいわ)を挟む 台輪鳥居(稲荷の神社で見かける朱塗りの例は稲荷鳥居の名でも呼ばれる)
貫(柱をつなぐ横木)の端 島木のない神明系なのに、貫が柱の外まで出ている(貫が外へ出るのは明神鳥居にも多いので、島木の有無と合わせて見る) 鹿島鳥居
柱の足もと 主柱の前後に控えの柱を添える 両部鳥居(四脚鳥居とも)。厳島神社の大鳥居など
全体の材 皮付きの丸太 黒木鳥居(大嘗祭の悠紀殿など)
全体の組み方 笠木・島木・柱・貫を3本継ぎで組む。笠木と島木が分かれず、ひと続きの曲線に見える 肥前鳥居。佐賀県周辺の石の鳥居で、武雄神社の一ノ鳥居(寛永18年・1641)など

山王鳥居の破風は、日吉大社の案内では、仏教の胎蔵界・金剛界と神道が一つになることを表すとされています。

朱・木・石・コンクリート、素材が語ること

朱塗りには色の意味だけでなく、木を守る役目もあったと伏見稲荷大社は説明しています。素材のほうは、木から始まり、石や銅、近代のコンクリートへと幅が広がってきました(東京都神社庁・世界大百科事典)。

素材 実例
木 鹿島神宮の今の大鳥居(境内の杉4本を使い、2014年6月1日竣工)
石 鹿島神宮の先代の大鳥居(1968年建立の御影石)、武雄神社の一ノ鳥居(1641年)
鉄筋コンクリート 平安神宮の大鳥居(1928年、昭和天皇の即位の大礼を記念。高さ24m・幅18mで当時は国内最大)

鹿島神宮では御影石の大鳥居が2011年の東日本大震災と余震で倒れ、境内の杉を切り出して木で建て直しました。素材は時代とともに一方向へ進むとは限りません。

海に立つ厳島の大鳥居は、なぜ倒れず、どこが傷むのか

満ち潮で海の中に立つ厳島神社の大鳥居は、地中深く埋めた柱に頼って立っているわけではありません。宮島観光協会の案内から、数字と仕組みだけを拾って整理しました。

見るところ 大鳥居の場合
足もと 埋め込まない/基礎=松の杭
重さ 全体で約60トン/上の横木(笠木・島木)は箱の造りで、中に約4トン分の小石
形 主柱の前後に控えの柱を添えた両部鳥居
傷みやすい所 潮が満ちると海水につかる根元
手入れ 根継ぎ(1950年から)/材=クスノキ
今の鳥居 1875年(明治8年)の再建

根継ぎは、柱を丸ごと替えずに、傷んだ根元だけを新しい木でつなぐやり方です。海の鳥居は、建てたあとの手入れまで含めて受け継がれてきたといえます。

奉納された鳥居と、数えるときの単位

伏見稲荷大社の山の参道に並ぶ鳥居は、約1万基にのぼります。江戸時代以降、願いが「通った」お礼として鳥居を納める人が増えたと、同社は説明しています。

数えるときは「基」をよく見かけます。国指定文化財等データベースは平安神宮と厳島神社の大鳥居の員数を1基とし、延喜22年の「鳥居肆基」(4基)も同じ字です。ほかの物の単位は「ものの数え方(助数詞)の一覧」にまとめています。なお武雄市は、武雄神社の一ノ鳥居の右の柱の銘文の中に「石鳥居一柱」の語があると紹介しています。

鳥居にまつわるよくある誤解

誤解1:朱塗りの鳥居は稲荷神社のしるし

稲荷の神社に朱塗りの台輪鳥居が多いことから生まれやすい思い込みですが、伏見稲荷大社自身が、朱塗りは稲荷に限らないと答えています。

誤解2:石の鳥居はどれも近代のもの

木が先で石はのちという流れは資料どおりですが、古い石の鳥居もあります。山形市鳥居ヶ丘の石鳥居は平安時代後期の石造の明神鳥居で、国の重要文化財です(文化遺産オンライン)。

もうひとつ、「へぇー」を

厳島神社の大鳥居には沖側と社殿側に2枚の額が掛かり、社名の書き方が違います。海から見上げると「嚴嶋神社」、社殿の側からは「伊都岐島神社」。向きを変えるだけで、同じ社の別の表記に出会えます。

編集:へぇ助

鳥居についてのよくある疑問

Q. 鳥居がいくつもある神社では、どう呼び分ける?

A. 東京都神社庁によると、2基以上あるときは、いちばん外側を一の鳥居とし、内へ二の鳥居、三の鳥居と続きます。

Q. 家族が亡くなったあと、鳥居をくぐってもよい?

A. 北海道神社庁の案内を、時期ごとに整理すると次のとおりです。

時期 神社へのお参り
忌の期間(50日とすることが多い) 控える
忌が明けてから喪が明けるまで お参りはできる。鳥居の下は通らず脇の道から境内へ入り、拝殿の正面に立つのも控える

神社や地域で扱いが違うこともあるので、参拝先の案内を確かめると確実です。期間の考え方は「忌中と喪中の違いと、控えることの目安」で整理しています。

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出典・参考

※鳥居の形・呼び名・作法は、神社や地域、資料によって異なります。本記事は資料にもとづく一般的な整理です。