風呂敷の由来とは?名前に「風呂」が付く理由と幅の早見表・基本の包み方

先に結論:風呂敷は、物を包んで運ぶための四角い布です。名前に「風呂」が入るのは、室町時代から江戸時代にかけての入浴の場で、床に敷いたり脱いだ衣類を包んだりした布をこう呼んだことによる、とする説が広く知られています。ただし決め手はなく、諸説あります。それより前は「ころもつつみ」「平包(ひらづつみ)」などと呼ばれ、「風呂敷」の文字は1616年、徳川家康の遺品を分けた記録に早い例が見えます。

まずはひとつ、「へぇー」を

大げさな話のたとえでおなじみの「大風呂敷」。江戸時代には四尺五寸物の大判を実際にそう呼んだと日本大百科全書にあります。辞典の用例でも、ほら話より大きな布の意味が先に出てきます。

編集:へぇ助

お風呂で使わないのに「風呂敷」と呼ぶわけ

浴室と縁のない布の名に「風呂」が残るのは、かつて入浴の場で使われたと考えられているからです。ただ、その場面の描き方は資料によって違います。

  • 蒸し風呂の床に敷いた布とみる説:むしろやすのこと並んで床に広げられた布が、名前のもとになったとする見方です。宮井株式会社の解説では、こうした敷物は蒸気を浴びる室町時代の風呂で、部屋の熱をならす役目を持っていたとされます。東京都浴場組合も、1591年に江戸で開かれた最初の銭湯は蒸し風呂だったと考えられるとしています。
  • 脱いだ衣類を包んだ布とみる説:足利義満が設けた大きな湯殿に招かれた大名たちが、家紋入りの布で着物を包んだ、という話が伝わります(宮井株式会社の解説)。
  • 町の銭湯とともに名前が広まったとみる説:日本大百科全書は、室町時代の終わりに町風呂(銭湯)が現れ、脱衣場で身じまいをする布として呼び名が変わったと説明します。デジタル大辞泉は、江戸前期に銭湯が発達して広まった名だとします。

3つは同じ「入浴の場の布」を、どの時代の話として語るかの違いともいえますが、名づけの経緯を一つに絞れる決め手はありません。

呼び名と使われ方の移り変わり(年表)

包む布そのものは「風呂敷」という名前よりずっと古くからあります。辞典や史料などを突き合わせ、呼び名を軸に並べました。

時期 主な呼び名 できごと・記録
奈良時代 (包み布) 正倉院に、宝物を包んで納めたとされる布が伝わる
平安〜中世 ころもつつみ(衣包)、平包 衣服などを包む布の名として使われる
1616年 風呂敷 家康の遺品分けの記録『駿府御分物御道具帳』に「こくら木綿風呂敷」が見える
1686年 風呂敷 井原西鶴の『好色一代女』に用例
1743年 風呂敷 大丸が江戸店を開き、店のしるしを染めた萌黄色(黄緑色)の風呂敷で呉服を包んで送る
宝暦年間(1751〜64)ごろ 以後は風呂敷が主に このころまで平包と風呂敷が併用された

新しい名前は、古い名前をすぐには置き換えませんでした。精選版日本国語大辞典によれば、平包と風呂敷は宝暦のころまで併用されています。大丸の公式サイトは、萌黄色の風呂敷包みが江戸店の開店の宣伝として大いに役立ったと紹介しています。

大きさは「幅(はば)」で数える:早見表

風呂敷の大きさは「幅」という呼び名で表します。もとは着物の反物の幅で、丸和商業株式会社は、鯨尺(くじらじゃく。布をはかる物差し)の九寸、約34cmを「一幅」の基準と説明しています。いっぽう「二尺幅」「二四幅(二尺四寸)」のように、鯨尺の長さ(1尺は約38cm)を名前にしたサイズも混ざります。表の「中身の目安」は、包む物は対角線の約3分の1が扱いやすいという専門店の目安から、当サイトで試算しました。

呼び名 一辺の目安 名前の数え方 中身の一辺の目安(試算) よく挙がる使い道
中幅(ちゅうはば) 約45cm ―(資料に説明なし) 約21cm 金封、お弁当
二幅(ふたはば) 約68cm 一幅の2つ分 約32cm 菓子折り(最も一般的とされる)
二尺幅(にしゃくはば) 約75cm 鯨尺2尺 約35cm 二幅よりひと回り大きい箱
二四幅(にしはば) 約90cm 鯨尺2尺4寸 約42cm 買い物の荷物、テーブルクロス
三幅(みはば) 約105cm 一幅の3つ分 約50cm 買い物の荷物、のれん
四幅(よはば) 約128〜130cm 一幅の4つ分 約60cm 座布団をまとめて包む
五幅〜七幅 約175〜238cm 一幅の5〜7つ分 ― 布団、こたつの上掛け

寸法は宮井株式会社と丸和商業株式会社の案内をもとに、メーカー差は幅で示しました。金封を包むなら中幅が目安で、袋の書き方はのし袋の表書きと中袋の書き方で解説しています。

まず覚えたい2つの包み方

専門店の解説には20種類以上の包み方が並びますが、四角い箱なら次の2つで間に合います。どちらも、ひし形に広げた風呂敷の真ん中に品物を置いて始めます。

お使い包み(結んで仕上げる)

  1. 手前の角を品物にかぶせます。
  2. 奥の角も同じようにかぶせます。
  3. 左右に残った2つの角を持ち上げ、品物の上で真結びにします。

平包み(結ばずに重ねる)

  1. 手前の角をかぶせ、余った分は品物の下へ折り込みます。
  2. 左、右の順に角を重ねます。
  3. 最後に奥の角をかぶせ、端を下に入れて形を整えます。

結び目を作らない平包みは、改まった贈り物を持参するときに向く包み方として紹介されています。真結びをほどくときは、片方の端を引いて結び目とまっすぐにし、その結び目を軽く押さえながら滑らせると抜けます(むす美の解説)。

見直されてきた流れと、地域で違う使われ方

風呂敷で荷物を運ぶ習慣が袋に置き換わったのは昭和40年代で、紙や布の手提げ袋、スーパーのビニール袋の広まりが背景にあったと宮井株式会社は解説しています。使い捨ての買い物袋の代わりにと、2005年(平成17年)12月、当時の環境大臣が内閣のメールマガジンで「もったいないふろしき」を紹介しました。図柄は江戸時代の絵師・伊藤若冲の作品で、生地は使用済みペットボトルから生まれたものです。環境省のページによると、翌2006年1月22日にはトリノ冬季五輪の日本代表選手団の壮行会で選手に手渡されました。2020年7月からはレジ袋が全国一律で有料になりましたが、布の袋は対象外です。

いまの需要は贈答が中心です。宮井株式会社は、関西では婚礼や快気祝い、叙勲のお返し、関東では仏事のお返しに使われる例を挙げています。どちらもお返しの品ですが、関西は慶事、関東は弔事の場面が挙がっている点に違いがあります。

よくある誤解

「名前は銭湯から生まれたと決まっている」:銭湯説は有名ですが、室町時代の湯殿や蒸し風呂の話として語る資料もあり、由来は一つに絞られていません。

「風呂敷と袱紗(ふくさ)は同じもの」:袱紗はご祝儀袋や香典袋を包む小ぶりな布です。包む向きは慶事と弔事で逆にし、色は場に合わせて選びます(紫は慶弔どちらにも使えるとする案内もあります)。弔事での色の目安は香典の相場と表書きのマナーで触れています。

「平包みは包み方の名前にすぎない」:「平包」は、風呂敷という名が広まる前の、布そのものの呼び名でもありました。

もうひとつ、「へぇー」を

きっちりした正方形に見えて、風呂敷は少し縦長です。宮井株式会社によると丈は幅より2〜3%長めで、二幅(約68cm)なら縦が1.4〜2cmほど長い計算。広げて測ると小さな発見があります。

編集:へぇ助

よくある疑問

Q. 最初の1枚は何幅を選べばいいですか?

A. 迷ったら、宮井株式会社が最も一般的とする二幅(約68cm)が目安です。買い物袋代わりにもするなら二四幅(約90cm)が扱いやすいでしょう。

Q. のし袋を持ち歩くときは、何に包めばいいですか?

A. 折れや汚れを防ぐため、袱紗に包んで持ち運ぶ方法がよく紹介されます。神社に納めるときの流れは初穂料ののし袋の書き方と納め方で紹介しています。

Q. 相手に渡すときは風呂敷ごと渡しますか?

A. マナー解説では、風呂敷をほどいて品物を出し、風呂敷をたたんでから、品物の正面を相手に向けて渡す流れが紹介されています。

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出典・参考

風呂敷の名前の由来には諸説があり、寸法や包み方の呼び名もメーカーや流儀によって異なります。本記事は資料で確認できる範囲の一般的な見方を紹介したものです。