正月飾りはいつからいつまで?門松・しめ飾り・鏡餅の意味と29日・31日を避ける理由

先に結論:29日・31日に飾らないのは、「二重苦」に聞こえる語呂と、大晦日に飾る「一夜飾り」を嫌う言い習わしで、決まりではありません。年神(としがみ)を迎える門松・しめ飾り・鏡餅は、12月13日の正月事始めから30日までに出すのが目安です。片づけは、門松・しめ飾りが松の内明け、鏡餅が鏡開きの日。外した飾りはどんど焼きや神社の納め所へ、または自治体の分別に沿って手放します。

まずはひとつ、「へぇー」を

松戸市は「門松カード」、岡山市は「紙門松」として、印刷して飾る門松の図柄を公式サイトで配っています。松を伐らずに紙で代える工夫は、戦後の生活改善運動のころにも見られました。

編集:へぇ助

門松・しめ飾り・鏡餅の役目を一覧で比べる

「何日に出すか」「いつ外すか」がこれほど気にされる背景には、飾っている日数を、年神を家にお迎えしている日数と重ねる考え方があると読めます。世界大百科事典の「松の内」の項も、松飾りが残るあいだを、年神をまつる正月行事の期間と捉えています。

飾り 主な置き場所 年神との関係(資料の説明) 片づける目安
門松 門口や玄関の外が中心。左右一対の形が多い 年神が降りてくる目印(依り代〔よりしろ〕)とされる 松の内が明けたら
しめ飾り 玄関や神棚 年神を迎える場であることの表示。紙垂(しで)がその印。神聖な場を外と区切り、災いを入れない役目とも(産泰神社・北海道神社庁) 松の内が明けたら(縁起物の付いたもの)
鏡餅 神棚や床の間。台所などに小さく供える例も 供え物とも(日本鏡餅組合)、神様が滞在する依り代とも(産泰神社)説明される。年を重ねる力が宿るとする見方も 鏡開きの日に下げて家族で食べる

門松は迎える目印、しめ飾りは場を清めて区切る印と、産泰神社や北海道神社庁のように分けて説明する資料がある一方、福島県神社庁は、門松もしめ飾りも、場を清らかに保つ印と年神の目印を兼ねるものとしてまとめています。鏡餅は供え物であると同時に、年神が宿るものとしても説明されます。

いつ飾る?準備は12月13日から、30日までに

飾る期間の締め切りは年内の30日で、世界大百科事典の「門松」はこの日を立て終える期限としています。始まりは12月13日です。昔は多くの土地がこの日、山へ入って門松の松を伐り(松迎え。百科事典マイペディアほか)、今もこの日は正月の支度に取りかかる「正月事始め」とされます(産泰神社)。

段取りは、掃除で家を整えてから飾るのが順だと産泰神社は案内し、製造元の神明堂は26〜28日か30日に飾る家が一般的だと話しています(ウェザーニュース)。

29日と31日を避けるわけ:理由は「語呂」と「心構え」

日付 よく言われる理由 理由の種類 確かめられる資料
12月29日 「にじゅうく」と読むと「二重苦」に聞こえる 数字の語呂合わせ 神社や製造元の解説
12月31日 年越し直前の飾りつけは「一夜飾り」。辞典は、葬儀の支度に似る点と、年神への誠意を欠く点を嫌う理由に挙げる 準備の心構えと連想 国語辞典(デジタル大辞泉)
12月30日 旧暦では大晦日にあたるとして、一夜飾りと同じとみる見方が一般向けの解説にある(All About) 旧暦の名残 一方で産泰神社・福島県神社庁や製造元は、30日までに飾ればよいと案内

31日は辞典に載る言葉、29日は数字の読みによる縁起かつぎで、守らないと何かが起こるものではありません。

「12月31日」という日付も、明治の改暦で太陽暦になってから生まれたものです。旧暦(太陰太陽暦)のひと月は大の月でも30日、小の月なら29日まで(国立国会図書館「日本の暦」)で、年の最後の月が大の月なら30日、小の月なら29日が大晦日でした。30日を一夜飾りと同じとみて避ける人がいるのはこの名残ですが、今の暦では30日は年の最後の日ではありません。大晦日の日付そのものが年で違ったのですから、避けたいのは「31」という数字より、年の最後の日に駆け込むことだと読めます。

片づけは二段階:門松・しめ飾りと鏡餅で日が違う

門松としめ飾りは松の内(正月飾りを出しておく期間)が明けたら外しますが、外の門松と家の中の神棚まわりの飾りで日がずれる土地も少なくありません(世界大百科事典「松の内」)。同じ項は、松の内が全体に短くなる傾向にあるとも見ています。区切りの日は、日本大百科全書によれば普通は7日まで、京都や大阪では15日までで、3日で門松を下ろす土地の例も世界大百科事典に載っています。

鏡餅は鏡開きの日に下げます。多くは1月11日ですが、京都の4日や15日・20日の地域もあり、わけは鏡開きの日付と地域の違いで整理しています。

外した正月飾りの行き先を比べる

行き先 時期の目安 気をつけたいこと
どんど焼き(左義長) 多くは小正月のころ。九州には7日に焼く「オニビ(鬼火)」の例も(日本大百科全書「左義長」) ビニールや針金、橙(みかん)などは外していく。受け付ける物は会場ごとに違う
神社の納め所 三重縣護國神社のように、古札納所で一年を通して預かる神社もある 正月飾りやお札・お守りなど、神社が案内する物だけにする
家庭ごみ 自治体の収集日 自治体の分別どおりに。ほかのごみとは別の袋にし、塩をふったり半紙に包んだりする方法を紹介する神社も(産泰神社)

どんど焼きは、原則禁止の野焼きの例外にあたる行事です(町田市)。

お札やお守りを一緒に納めるなら、古いお守りの返し方も参考になります。

土地ごとに違う正月飾りの姿

  • 松ではない「門松」:椿・栗・榊・竹などを門松に使う土地の例が、日本大百科全書の「門松」に並びます。名は「松」でも、木は土地ごとでした。
  • 下ろさないしめ縄:三重県総合博物館の紹介では、松阪市嬉野地域より北ではほとんどの家がしめ縄を15日までに下ろす一方、嬉野地域から南ではおよそ8割以上の家庭が一年中玄関に掛けています。「蘇民将来子孫之門」の札を付けた、伊勢型と呼ばれる形です。

正月飾りのよくある誤解

  • 誤解:仏滅の日に飾ってはいけない
    仏滅の日でも飾ってかまわない、と産泰神社は案内しています。六曜は日ごとの吉凶を記した暦の注記で、正月飾りの習わしとは出どころが別です。成り立ちは六曜の意味と順番で確かめられます。
  • 誤解:しめ縄は正月が終わったら全部外す
    一年じゅう掛けたままにするしめ縄もあります。北海道神社庁によれば、神棚の前に張る紙垂だけのしめ縄がそれで、正月明けに外すのは宝船など縁起物で飾ったもののほうです。
  • 誤解:門松を立てるのはどの家でも当たり前
    門松を出さない家や土地もあります。氏神が松で目を突いたという言い伝えや、戦に敗れて年の瀬に落ちのびてきた家の由来などが理由として伝わります(世界大百科事典・日本大百科全書・ブリタニカ国際大百科事典の「門松」)。

もうひとつ、「へぇー」を

門松を外す日取りに、お寺が関わる土地もあります。世界大百科事典によれば、お坊さんが年始のあいさつに回ってくる4日の朝までには片づけておくべきだ、とする所があるそうです。

編集:へぇ助

正月飾りのよくある疑問

Q. 喪中の年は飾らないほうがいい?

A. 案内する側で答えが違います。

項目 北海道神社庁 日本鏡餅組合
門口の門松・しめ飾り 喪中の家は遠慮し、松飾りは立てない 不幸があった年も控えない
鏡餅 記載なし 健康と幸運を願って供えるとよい

地域や家でも違うので、迷ったら家族や氏神の神社に相談を。

Q. 去年の飾りを今年も使っていい?

A. 毎年新しくするよう勧める案内があります。北海道神社庁と産泰神社は、どちらも年ごとに改めるよう案内しています。

Q. 鏡餅は1か所に飾ればいい?

A. 決まりはありません。日本鏡餅組合は台所の水まわりなどに小さな鏡餅を、寝室などにも鏡餅を置く例を、北海道神社庁は輪の形の小さなしめ飾り「輪〆(わじめ)」と重ね餅を各部屋に飾る風習を紹介しています。

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出典・参考

※飾る日・外す日・処分のしかたは、地域・家庭・寺社によって異なります。本記事は資料にもとづく一般的な目安です。