だるまの目の入れ方とは?左右・順番と意味をやさしく解説

先に結論:だるまの目入れは「願いをかけるときに片方、かなったらもう片方」という二段構えを案内する寺がありますが、どちらの目から入れるかは、寺や産地の案内によって違います。高崎の少林山達磨寺と高崎だるまの組合は「向かって右(だるまの左目)から」と案内し、大阪・箕面の勝尾寺は「右目(向かって左側)」に誓いの印を入れる作法です。順番を間違えたからといって意味がなくなるわけではないので、迷ったら、だるまを授かった寺や買ったお店の案内に合わせれば十分です。

まずはひとつ、「へぇー」を

だるまに手足が見当たらないのは、赤い衣にすっぽり包まれて坐禅する姿だからとされます。少林山達磨寺は、手も足もちゃんとあり、衣の中に隠れているだけだと答えています。

編集:へぇ助

4つの案内を並べてみると、左右はそろっていない

「だるまの目はどっちから?」という疑問には、ネット上では一つの答えが繰り返し書かれがちです。そこで当サイトでは、目入れの方法を公式に案内している寺と産地の組合、あわせて4つのページを読み、4つの項目で突き合わせました。

項目 少林山達磨寺(群馬・高崎) 高崎だるま(群馬県達磨製造協同組合) 深大寺(東京・調布) 勝尾寺(大阪・箕面)
最初に入れる目 向かって右 左の眼(向かって右)を推奨。ただし順序に決まりはないとも説明 左目に梵字の「阿」 右目(向かって左側)
最初の目を入れる人 和尚が最初の一筆を入れる「開眼」を紹介。願い主が自分で書き入れる手順も案内 昔は作り手が目を入れて渡し、のちに買った人が自分で入れるようにもなったと説明 だるま市の特設「だるま目入れ所」で僧侶が入れる 自分で署名を書き入れ、黒く塗りつぶす
願いがかなったら 感謝を込めて残りの目を書き入れる もう片方の目入れの記載なし(成就したら一回り大きなだるまを求める人がいる、との記述あり) 右目に「吽」を入れて寺に納める 本堂で結果を報告し、ダルマ棚へ奉納(もう片方の目入れについては記載なし)
使い終わったら 寺の供養受付で預かり、お焚き上げ供養 近くの寺社に供養をお願いする。地元のどんど焼きでもよい 寺の「だるまの納め所」へ ダルマ棚へ奉納

「記載なし」は、そのページに書かれていないという意味で、行わないという意味ではありません。表を見ると、最後は寺社などで供養・奉納するという点は4つとも共通しています。いっぽう、かなったらもう片方の目を入れる二段構えを案内しているのは少林山達磨寺と深大寺で、勝尾寺の公式案内は、署名を入れた片目を塗りつぶしてから結果を報告し奉納するまでの手順を示していて、2つ目の目入れには触れていません。高崎の組合のページには、成就後にもう片方の目を入れるかどうかの記載がありません。違いは「どちらの目か」「誰が筆を入れるか」に加えて、公式案内に2つ目の目入れが書かれているかどうかにも出ています。

「向かって右」と「だるまの左目」は同じ場所

左右の話がややこしくなるのは、見る人の側から言うか、だるまの側から言うかが混ざるからです。正面から向き合ったとき、自分の右手側にあるのは、だるま自身にとっては左目です。少林山達磨寺の「向かって右」と、高崎だるまの「左の眼」は、言い方が違うだけで同じ目を指しています。

勝尾寺の案内は自分側とだるま側の両方の言い方を併記しているので、取り違える心配がありません。一方、深大寺の案内は「左目」「右目」とだけ書かれていて、向かってどちらかという補足はありません。家族や職場で話がかみ合わないときは、「自分から見てどっち?」と確かめると早く解決します。

左右の理由づけは、いくつもある

なぜその目から入れるのかについても、説明は一つではありません。

  • 阿吽(あうん)にあてる説明:深大寺では、物事の始まりを表す「阿」と、成就を表す「吽」の梵字を左右の目に書き分けています。狛犬の口の形でも知られる「阿吽」の考え方を、目の左右に当てはめたものです。詳しくは「狛犬の阿吽と左右」で紹介しています。
  • 左を上位とする説:高崎だるまの組合は、席順で左を格上とみる考え方に由来するという説を紹介しつつ、それは説の一つで、順序に決まりはないと書いています。
  • 陰陽に結びつける説明:左右を陰と陽に当てはめる話も見かけますが、今回読んだ4つの公式案内には出てきません。当サイトでは、根拠を確認できた説明としては扱いません。

どれも理由づけの一つで、唯一の正解があるわけではありません。

選挙の「必勝だるま」の場合

選挙事務所に大きなだるまが置かれ、当選が決まると候補者が筆を入れる場面は、ニュースでもおなじみです。日本経済新聞の記事では、選挙前に片方の目を入れて縁起をかつぎ、当選後にもう片方を入れる慣習として紹介されています。墨汁は垂れて黒い涙のようになることがあるため、マジックペンや筆ペンを勧める販売業者の声も紹介されています。

ただし、選挙のときにどちらの目から入れるかについては、当サイトでは公式の根拠を確認できませんでした。選挙だから左右が逆、と決めつけないほうが安全です。

よくある誤解

誤解1:逆の目から入れると願いがかなわない

高崎だるまの組合は、目入れを「ない目玉を描く作業」ではなく、心の目を開くことを表したものだと説明しています。入れる順番が案内と違っても、願いを込めた気持ちまで消えるわけではありません。

誤解2:片目のまま飾るのは縁起が悪い

片目の状態は、願いをかけている途中というしるしです。少林山達磨寺の手順も、願いがかなったときにもう一方を入れる流れになっています。

誤解3:だるまの色で願いの種類が決まっている

少林山達磨寺のよくある質問は、色によって意味が変わることはなく、願いを込めて目を入れたときに初めて願掛けのだるまになる、という趣旨で答えています。色ごとに意味を付けて売られているものは、お店ごとの楽しみ方と考えるとよいでしょう。

役目を終えただるまの行き先

少林山達磨寺は、本堂と達磨堂の間にある受付で毎日9時から17時までだるまを預かり、1月15日の大きな供養法要をはじめ、年に数回お焚き上げをしています。供養料に決まりはなく、袋や箱は持ち帰るよう案内されています。高崎だるまの組合も、家で祀ってきただるまをごみと一緒にしないよう呼びかけています。お守りやお札の返し方は「お守りの扱い方と返納」も参考になります。

もうひとつ、「へぇー」を

だるまの顔をよく見ると、眉は鶴、口ひげは亀がそれぞれ向かい合った形に描かれています。縁起だるま発祥の寺とされる少林山達磨寺が紹介している特徴で、顔の中に鶴と亀が隠れているのです。

編集:へぇ助

よくある疑問

Q. だるまはどこに置けばよいですか?

A. ここも案内が分かれます。少林山達磨寺は、神棚があればその向かって左側、なければ目線より高い場所を勧めています。高崎だるまの組合は、昔は神棚の向かって右側に置いたとしつつ、今は決まりはなく、家族の目に入りやすい所でよいとしています。

Q. 買ったその日に両目とも入れてもかまいませんか?

A. 表の4つの案内は、いずれも願掛けのはじめに片方の目を入れる流れで、すぐ両目を入れてよいかには触れていません。一方、群馬のだるま製造販売会社のQ&Aには、手元に届いた時点で両目とも入れてかまわないという回答があります。願掛けに使わず飾るだけなら、気になる場合は購入先に確かめると安心です。

Q. 深大寺のだるま市はいつですか?

A. 毎年3月3日・4日の厄除元三大師大祭にあわせて開かれ、元三大師堂では大護摩供も行われます。護摩については「護摩とは」で解説しています。

出典

  • 黄檗宗 少林山達磨寺「縁起だるま発祥の寺」
  • 黄檗宗 少林山達磨寺「よくある質問」
  • 黄檗宗 少林山達磨寺「だるま供養」
  • 高崎だるま(群馬県達磨製造協同組合)「よくある質問」
  • 深大寺「だるま市について」(年中行事)
  • 勝尾寺「勝ちダルマ・御守」
  • 日本経済新聞「必勝だるま、目入れ待つ」
  • 群馬ダルマ製造販売株式会社「Q&Aだるま屋さん教えてっ」

目入れの左右や納め方は、寺・産地・お店によって異なります。迷ったときは、だるまを授かった寺や購入したお店の案内に従ってください。

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