先に結論:お宮参り(初宮参り)は、赤ちゃんの誕生を神さまに報告し、すこやかな成長を願って初めて神社へお参りする行事です。日にちは「男の子は生後31日目・女の子は32日目ごろ」とよく言われますが、神社や地域によって1〜2日ずれ、30日前後から100日ごろまで幅があります。赤ちゃんを抱く人や着せるものにも昔ながらの形はありますが、今は赤ちゃんとお母さんの体調を第一に、家族の都合で決めてかまわないとされます。
まずはひとつ、「へぇー」を
大阪を中心とした関西などには、お祝い金を紐で赤ちゃんの祝い着に結ぶ『紐銭(ひもせん)』という風習が伝わるとされ、『一生お金に困りませんように』との願いが込められているといわれています。
編集:へぇ助
「31日目」は全国共通ではない:公式案内を並べてみる
よく見かける日数は、出どころによって少しずつ違います。ここでは、神社や神社庁が公式サイトで示している目安を、2026年10月の時点で確かめて一つの表にまとめました。
| 案内している所 | 男の子 | 女の子 | 案内の特徴 |
|---|---|---|---|
| 松陰神社(東京都世田谷区) | 生後31〜32日目 | 生後32〜33日目 | 地方によって差があると添えたうえで、日にちより体調や気候を優先するよう案内 |
| 長野県神社庁 | 生後32日目 | 生後33日目 | 男女で1日ずらす形 |
| 住吉大社(大阪市) | 30日目 | 31日目 | 生まれた日を1日目と数える大阪の慣わしとして紹介 |
| 島根県神社庁 | 生後30日 | 生後31日 | その日数が「過ぎてから」行うのが主流で、地域によって様々とする |
| 福井県神社庁 | 男女の区別なく、およそ30日前後から百日の間 | 期間の幅で示す形 | |
並べると、東京と大阪の神社では同じ男の子でも1〜2日の開きがあります。また、住吉大社のように「○日目」と書く案内と、島根県神社庁のように「○日が過ぎてから」と書く案内では、指している日が1日ずれる可能性があります。辞典を見ても、世界大百科事典は男児32日目・女児33日目の例が多いとしながら、早い土地ではお七夜(生後7日目)、遅い土地では100日目に参ったと紹介し、日本大百科全書は75日目の例も挙げています。両辞典とも、西日本では100日目に参る「モモカマイリ」が多いと記しています。
どれか一つが正解というより、お参りする神社の案内や地域の習わしに合わせるのが自然です。
日にちの数え方:生まれた日を「1日目」にする
住吉大社は、生まれた日を1日目と数えるのを大阪の慣わしとして紹介しています。この数え方なら、たとえば4月1日生まれは、4月30日が30日目、5月1日が31日目、5月2日が32日目になります。
これは目安の日を知るための数え方で、松陰神社や住吉大社も、お母さんと赤ちゃんの体調に合わせることをすすめています。暑さ寒さの厳しい時期は気候が和らぐまで待つ家庭もあり、100日ごろのお食い初めの時期にまとめてお参りする例もあります。
赤ちゃんを抱くのはだれ?昔の形と今の考え方
昔ながらの形として知られるのが、父方の祖母が赤ちゃんを抱いてお参りする姿です。日本大百科全書(ニッポニカ)によると、かつてはお産のあとの母親の忌み(いみ)がまだ明けていないことも理由の一つとされ、姑(しゅうとめ)や産婆が赤ちゃんを連れて行くことが多かったとされます。抱き手として、姑のほかに産婆や仲人の妻が挙がっているのも、昔のお宮参りが家の外の人も関わる行事だったことをうかがわせます。
今は、母方の祖母や両親が抱く家庭、両親と赤ちゃんだけで行く家庭などさまざまで、無理なく抱っこを分担できる人が抱けばよいと考える人が増えています。どちらの祖父母を呼ぶかは、早めに両家で話しておくと安心です。
祝い着と服装:伝統の柄とベビードレス
伝統的には、赤ちゃんに祝い着(掛け着)を掛けてお参りする形が知られています。世界大百科事典は男の子には熨斗目(のしめ)、女の子には模様物を挙げ、百科事典マイペディアは女の子の祝い着に縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)の総模様が多いとしています。
最近はベビードレスで参拝したり、貸衣装の祝い着を撮影時だけ羽織らせたりと、選び方の幅が広がっています。付き添う家族は、スーツやワンピースなど落ち着いた服装が一般的です。
ご祈祷と初穂料の準備
お宮参りでは、拝殿でお参りするだけで済ませる家庭もあれば、神職に祝詞(のりと)をあげてもらうご祈祷を申し込む家庭もあります。予約の要否は神社ごとに違い、住吉大社は予約を受け付けず当日順に案内しています。
ご祈祷の際に納める初穂料も、住吉大社は1万円、松陰神社は1万円からで人数によって段階がある、というように神社ごとに示し方が違います。のし袋の書き方や、金額の示し方の違いは初穂料の包み方と金額の確かめ方でくわしく整理しています。
お寺で行う「初参り」と「初参式」
赤ちゃんの最初のお参りを、お寺で行う家庭もあります。たとえば浅草寺(東京都台東区)は、赤ちゃんのすこやかな成長を観音さまに祈る「初参り加持」を1万円以上の志納で受け付けています。また浄土真宗本願寺派の本願寺神戸別院や北御堂(本願寺津村別院)では、誕生を仏前に報告する「初参式」を行っており、念珠(数珠)や式章が授与されます。本願寺神戸別院は時期の目安を生後100日、またはその後の適当な時期としています。
| 比べる点 | 神社のお宮参り | お寺の初参り(加持・祈祷) | 浄土真宗の初参式 |
|---|---|---|---|
| お参りする相手 | 氏神さまなど神社の神さま | 本尊(浅草寺なら観音さま) | 阿弥陀如来 |
| 時期の目安 | 生後30日前後から100日ごろ(神社・地域で差) | お寺ごとの案内による | 生後100日ごろかその後(本願寺神戸別院の場合) |
| 主な内容 | 参拝、希望すればご祈祷 | 加持・祈祷(授与品はお寺ごとの案内による) | 念珠・式章の授与、おつとめ |
どちらを選ぶかは家庭の考え方しだいです。そもそもの違いは神社とお寺の違いでまとめています。
よくある誤解
- 誤解1「31日目ちょうどに行かないと意味がない」:上の表のとおり、公式の案内そのものが神社や地域で違い、体調や気候を優先するよう案内している神社もあります。日がずれても行事の意味が損なわれるわけではありません。
- 誤解2「お母さんは参加してはいけない」:姑などが抱いて参ったのは、産後の忌みという昔の考え方によるものとされます。世界大百科事典は、西日本のモモカマイリでは母子ともに参る例が多いとしており、昔から一律だったわけでもありません。今はお母さんも一緒に参拝する家庭が一般的です。
- 誤解3「お宮参りは神社でしかできない」:浅草寺の初参り加持や浄土真宗の初参式のように、お寺にも赤ちゃんのためのお参りがあります。
もうひとつ、「へぇー」を
地域によっては、お祝い着の背にでんでん太鼓などの縁起物を結ぶ風習が伝わるとされます。太鼓の丸い形にちなみ、角が立たず裏表のない子に育つようにとの願いが込められているといわれます。
編集:へぇ助
お宮参りのよくある疑問
Q. 氏神さま以外の神社でもいい?
A. 島根県神社庁は、生まれた土地の守り神である産土神(うぶすながみ)や氏神さまへのお参りとして初宮詣を説明しています。実際には、安産祈願をした神社など、ご縁のある神社を選ぶ家庭もあります。迷ったら、両親が住む地域の氏神さまを候補にすると考えやすいでしょう。
Q. 当日のお参りの仕方は?
A. ご祈祷を受けない場合も、手水で手と口を清めてから拝殿でお参りする流れは普段と同じです。基本の手順は参拝の作法が参考になります。赤ちゃんを抱いている人は両手がふさがりやすいので、手水やお参りの間だけ別の家族に抱っこを代わってもらうと落ち着いて進められます。
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出典・参考
- 松陰神社「お宮参り(初宮参り)のご祈祷について」(公式サイト)
- 住吉大社「初宮まいり」(公式サイト)
- 長野県神社庁「人生儀礼」(公式サイト)
- 島根県神社庁「人生儀礼・行事|神道色々」(公式サイト)
- 福井県神社庁「人生儀礼」(公式サイト)
- 浅草寺「ご参拝」(公式サイト)
- 浄土真宗本願寺派 本願寺神戸別院「初参式」(公式サイト)
- 浄土真宗本願寺派 本願寺津村別院(北御堂)「初参式」(公式サイト)
- コトバンク「宮参り」(日本大百科全書(ニッポニカ)・改訂新版 世界大百科事典・百科事典マイペディア)
※日数・金額などは2026年10月に各公式サイトで確認した内容です。変更されることがあるため、お参り前に各神社・寺院の案内をご確認ください。