お札とお守りの違いは?どっちを受けるかの考え方と神社・お寺での扱いの差

先に結論:神社本庁の案内では、お札(お神札)は神棚にまつって家を守っていただくもの、お守りは身に付けて加護を受けるものと分けられています。ただ、東京都神社庁はお守りをお神札を小さくした形と説明しており、根は同じです。迷ったら、願いが家族や店全体に関わるならお札、自分ひとりの節目ならお守り、と考えると選びやすくなります。お寺にもお札やお守りはありますが、お守りを置いていないお寺もあります。

まずはひとつ、「へぇー」を

「愛宕山大権現守護所」と記した金色の札を、兜の正面に掲げた武将がいます。伊達家の重臣・片倉重綱の所用と伝わる兜で、台所の火除けで知られる愛宕の札が、武具の飾りにもなっていたのです。

編集:へぇ助

7つの物差しで並べると、違いは「居場所」に集まる

授与所で両方が並んでいると、何が違うのか分かりにくいものです。神社・お寺の公式案内をもとに、当サイトで比べる点を7つに絞りました。

物差し お札(お神札・御札) お守り
ふだんの居場所 神棚や家の中の清らかな所。門口・柱・台所に貼るものも 身につける・持ち歩くなど、持つ人のそば
願いの中心 家・家族・店。ただし祈祷の札は受けた本人のためのものもある 持っている本人
つくり 紙や木の札そのもの 神社名などを記した小さな木片・紙片を袋に納めた形
大きさの例 伊勢神宮の剣祓(けんはらい)は縦27.0cm、廬山寺の角大師護符は縦約24cm お札を小さくした大きさ(東京都神社庁の説明)
受けるきっかけ 年の改まり、ご祈祷のしるし 受験・安産・交通安全など、願いごとの節目
新しくする目安 1年を目安とする案内が多い 同じく1年が目安とされるが、願いが叶うまで持ってよいとする案内も
お寺での例 成田山新勝寺の御護摩札、廬山寺の角大師護符 成田山新勝寺の身代御守、廬山寺の身代大師お守り

表は各寺社の案内を当サイトで整理したもので、扱いは寺社ごとに異なります。並べてみると、守ってほしい内容よりも「家に据えるか、外へ連れ出すか」の差が大きいことが分かります。

お守りの袋の中身は、小さなお札

袋の中には何が入っているのか。東京都神社庁の神社Q&Aによれば、中身は神社名の入った木や紙の小片で、お守りそのものがお神札を縮めた形にあたります。伊勢神宮の外宮はこの中身を「守祓(まもりはらい)」という名で単独でも授けていて、手持ちの袋に納めて身につけるよう勧めています。

どこまでを「お守り」と呼ぶかは、辞典によっても幅があります。精選版日本国語大辞典と改訂新版 世界大百科事典は身につけて持つものとして説明するのに対し、ブリタニカ国際大百科事典は護符や守札などの別名を挙げ、戸や柱に貼る形や部屋にまつる形まで含めています。札と守りという呼び分けは、授かったあとの扱い方の違いを表す使い分けと考えると分かりやすいでしょう。

台所に貼る札、玄関に貼る札:京都に残る2つの例

お札は神棚に納めるもの、とは限りません。愛宕神社の「火迺要慎(ひのようじん)」の護符は、自分で受けに行かなくても地域から届くことがあるお札です。京都市の文化遺産の解説では、消防団の手で地区の各家庭へ配られている例が紹介されています。貼る先は台所のように火を扱う場所で、料理を出す店でも使われます。火の元を名指しした、用途を絞ったお札といえます。

お寺にも同じ構図があります。京都の廬山寺で授かる角大師(つのだいし)は、元三大師良源が鏡に映した姿とする言い伝えのある絵柄です。手刷りの護符として授かれば家の出入り口が持ち場になり、焼き印入りの木札を袋に収めた身代大師お守りとして授かれば、持ち主に付いて回ります。寺の案内には、車に付ける人がいることも書かれています。同じ角大師が、貼ればお札、持ち歩けばお守りになるわけです。

お寺のお札と、お守りを置かないお寺

護摩祈祷を行うお寺では、護摩を焚いて祈った御護摩札が授けられます。その一つの成田山新勝寺は、御護摩札を不動明王の御分身と位置づけ、まつる先として仏壇など清らかな場所を挙げています。家の中の居場所に仏壇が加わる点が、神社のお札との違いといえます。國學院大學の神道事典(英語版)は、お守りの起こりを陰陽師やお寺が作った護符に求め、のちに神社でも作られるようになったと説明しています。神社とお寺はまつる相手も成り立ちも違いますが、明治の神仏分離までは多くの寺社で長く混ざり合っていました。その移り変わりは神社とお寺の違い(まつる対象・建物・歴史の比較)に整理しています。

反対に、真宗大谷派の東本願寺は、よくある質問の中でお守りは置いていないと答え、その理由をまとめたリーフレットを案内しています。

どっちを受ける?迷ったときの3つの手がかり

  1. 願いの単位で選ぶ:家内安全・商売繁盛・火の用心のように家や店をまとめて守ってほしいならお札、合格・安産のように一人の節目ならお守りが、形として合っています。
  2. 家に居場所を作れるか:お札は家の中にまつる場所があって生きるものです。伊勢神宮のお札(神宮大麻)と氏神さまのお札を並べる順など、置き方の目安は神棚のまつり方とお札の並べ方で扱っています。
  3. 両方をそろえる道もある:成田山新勝寺は、赤ちゃんのお初まいりの祈祷のあとに身代御守と御護摩札をそろえて授け、札のほうも家でまつり、子の身体健全を祈るものとしています。札は家に、守りは子の身近に置くという分け方で、一人のために両方を使い分ける例です。

お札とお守りをめぐるよくある誤解

誤解1:お札は家族用、お守りは個人用と決まっている

大まかな傾向としてはそのとおりですが、決まりではありません。東京都神社庁は、厄除けのご祈祷で受けたお神札について、祈祷を受けた本人を守ってくれるものと答えています。上の成田山の例のように、一人の子のためにお札とお守りを両方受けることもあります。

誤解2:神棚がない家ではお札を受けられない

神棚を置けない住まいについても、東京都神社庁はきれいにした家具の上などにまつってよいと答えています。置き場所の工夫は上で案内した神棚の記事にゆずりますが、神棚の有無だけでお札を受けるかどうかを決める必要はありません。

誤解3:お寺のお札は仏壇にしか置けない

成田山新勝寺は、お初まいりの御護摩札について、仏壇のほか神棚や清らかな場所も挙げています。とはいえ寺院や宗派で考え方は違うので、受けたお寺の案内に従うのが確実です。

もうひとつ、「へぇー」を

巡礼で寺を訪ねることを「札を打つ」と言います。打つのは寺で受ける札ではなく、巡礼者が名や願いを書いて堂に打ち付けた木札のほう。「札所」という名も、この納める札から来たとされます。

編集:へぇ助

よくある疑問

Q. 同じ願いでお札とお守りを両方受けるのはおかしい?

A. おかしくはありません。伊勢神宮の外宮は、お神札を「お祀りになる方の幸せ」を、お守りを「お持ちになる方の健康や幸せ」を祈ったものと書き分け、両方を授けています。家と身の回りの両方で願いを託す、と考えれば自然な組み合わせです。

Q. お札とお守りは同じ時期に返すもの?

A. どちらも1年を目安に新しくする案内が多いものの、少し差があります。神社本庁の案内では、お神札は1年まつって年末に納めるのが基本で、お守りには願いがかなうまで持ち続ける余地が残されています。どこへ返せるかは寺社ごとに受付が違うので、お守りの返し方(返す先4通りと寺社ごとの受付)を参考にしてください。

Q. 「お札」「お神札」「御札」「護符」は書き分けがある?

A. 神社本庁は「お神札」と書いて「おふだ」と読ませ、精選版日本国語大辞典は「神札(しんさつ)」の見出しで、神社が出す護符の意味を載せています。成田山新勝寺は「御札」「御護摩札」、廬山寺は角大師の札を「護符」と呼んでいます。厳密な使い分けがあるというより、出す側ごとの言い慣わしの違いと考えてよさそうです。

関連記事

出典・参考

※お札・お守りの扱いは神社・お寺・宗派・地域によって異なり、案内が変わることもあります。本記事は公式案内と辞典類をもとにした一般的な目安です。