神棚の祀り方は?場所・向き・高さとお札の並べ方、お供えや忌中の扱いまで

先に結論:神棚は、伊勢神宮のお札(神宮大麻)と氏神さまのお札を家でおまつりする棚です。置き場所は、向きより先に清らかさと高さを大事にする案内が多く、南か東向きは目安です。お札は三社造りなら中央・向かって右・左の順、一社造りなら手前から重ねます。お供えは米・塩・水が基本で、お札は年末に新しくし、忌中は白い紙で覆っておまつりを控えます。

まずはひとつ、「へぇー」を

古事記には、名前に「たな(棚)」を含む神様がいます。イザナキが天照大御神に授けた首飾りの珠で、その名は御倉板挙之神(みくらたなのかみ)。倉の棚に安置したことにちなむとする説があります。

編集:へぇ助

「神棚」と「宮形」は、厳密には別のもの

ふだん神棚と呼ぶお社形の箱は、神社本庁の説明に沿って厳密に分けると「宮形(みやがた)」で、それを載せる棚のほうが「神棚」です。宮形がなければまつれない、というわけでもありません。同庁は、宮形がなかった頃の古いまつり方や、今も宮形を使わない地域の伝統にも触れたうえで、できる範囲で祀ることを勧めています。

置き場所は「向き」より先に「明るさ・高さ・人の通り道」で選ぶ

各地の案内がまず求めるのは清らかで明るい場所で、そのうえで高さは目線より上、お札の正面は南か東が共通の目安です。避けたい場所としては、人が下をくぐる出入り口や階段の下、真上の階がトイレや浴室にあたる位置がよく挙がります。一方、梁が見える天井の下なら上に部屋がないので差し支えない、と富山県神社庁は答えています。

資料 向き 高さ 上の階に部屋がある場合
神社本庁 南か東が一般的。適所がなければ毎日拝みやすい所を優先 目線より高い所 とくに記載なし
伊勢神宮 南か東が一般的。ふさわしい場所なら、間取りによって向きは問わない 目線より上 とくに記載なし
北海道神社庁 南・東・南東が最もよい。北向き・西向きでも縁起が悪いことはない 部屋の高い所 集合住宅は一戸を一軒の家と考える。気になれば「雲」「天」「空」と書いた紙を貼る
富山県神社庁 南か東 大人が見上げる程度 真上が水回りの場所は避ける。上が部屋や廊下になるのがやむを得なければ「雲」か「天」の紙(神職に相談したい事項)

棚を設けられない部屋では

壁に棚板を固定できない住まいでも、家具の上を使って祀る方法を北海道神社庁と東京都神社庁がそろって示しています。

お札の並べ方は、宮形の扉の数で変わる

並べ方の土台にあるのは、席の格の順番です。神社本庁の説明では、最上位が中央、二番目が向かって右、三番目が向かって左で、ここに神宮大麻、氏神さま、そのほか崇敬する神社のお札の順であてはめます。扉が一つの宮形では前後に重ね、手前ほど上位になります。

宮形の形 神宮大麻 氏神さまのお札 崇敬する神社などのお札
三社造り(扉が三つ) 中央 向かって右 向かって左。参拝の折に受けたお札はその後ろへ
一社造り(扉が一つ) いちばん手前 その後ろ さらに後ろ
宮形を使わない(棚や家具の上) 中央 向かって右 向かって左
宮形に入らない大きな木札など 宮形の左右に丁寧に並べる(神社本庁・東京都神社庁)

お供えは「毎朝の三品」と「月二回の少し丁寧な日」

毎朝の三品のうち、塩は神様の食事の一品としてそなえるもので、店先の盛り塩とは役割が違います(盛り塩の意味と神棚に供える塩との違いで比較)。お酒は、余裕があれば加えるよう神社本庁が勧めている品です。

場面 すること 資料
毎朝 米・塩・水を供えて拝み、榊立ての水を替える 北海道神社庁・神社本庁
並べるとき 中央に米(両庁共通)。棚の広さで置き方を変えてもよい(神社本庁) 神社本庁・東京都神社庁
毎月1日・15日 家族そろって拝み、酒や野菜・果物も供える 北海道神社庁
年末 神棚を掃除し、お札を新しくする 神社本庁

榊立てに挿す木について、北海道神社庁は榊のほかに松やオンコなどの常緑樹も挙げています。

お札を新しくするのは年末、古いお札は神社へ

新しい神宮大麻は、十月ごろから各地の神社で受けられるよう用意されます(神社本庁)。東京都神社庁は毎年替える理由を、元日の若水を尊ぶのと同じく、新しいものほど力が満ちるという感覚で説明しています。古いお札は、大晦日から小正月にかけてのどんど焼きなどで多くの神社が焚き上げている、と神社本庁は紹介しています。旅先など遠くで受けたお札は近くの神社に問い合わせてから納めればよく、行けるなら受けた神社へ返すのが望ましいとされます(同庁)。

仏壇との位置関係は、案内によって見方が分かれる

神棚を拝むときに仏壇へ背を向けたくない、仏壇の上に置いてよいのか。こうした迷いへの答えは、案内によって違います。

置き方 富山県神社庁 熊野神社(岩手県金ヶ崎町)
仏壇と同じ部屋 かまわない。ただし仏間は避ける 仏壇のある部屋をむしろ勧める
向かい合わせ 避ける。横に並べるか斜めにずらせば問題ない 避ける
仏壇の上 仏壇の上に置くのは避ける 神職個人としては場所を節約できるよい方法とするが、賛否が分かれるとも断る

なお富山県神社庁は、仏壇と同じ部屋にするかどうかを、神職に相談したい事項にも挙げ、迷うときは氏神神社への相談を勧めています。

忌中の神棚、白い紙は共通で呼び方は資料ごと

身内に不幸があったとき神棚を白い紙で覆う点は、下の三つの案内で共通です。違うのは期間を指す言葉と、添えられた注意です。

資料 期間を指す言葉 ほかに書かれていること
北海道神社庁 忌・忌明け 紙を貼るあいだ毎日のおまつりは控え、忌明けのあとに外す
東京都神社庁 喪中 白紙で覆う期間は長くて五十日が目安
神社本庁 見出しは喪中、答えは忌明け 新年のお札は忌明けを待って受けるのが一般的

期間の目安は忌中と喪中の違いと期間の目安で比べています。

神棚のまつり方で起きがちな誤解

誤解1:南か東を向けられないなら、祀らないほうがよい

北や西を向いて建つ神社のお宮も少なくない、と北海道神社庁は指摘し、北向き・西向きの神棚でも縁起は悪くならないとしています。伊勢神宮も、場所が整っていれば向きは間取りに合わせてよいとしています。南や東はよいとされる目安で、祀るための条件ではありません。

誤解2:宮形の扉は閉めておくのが正式

富山県神社庁の説明から、扉の扱いを三つに整理しました。

扉の扱い 同庁の説明での位置づけ
お札を納めた扉は開け、空の扉は閉める 今はこれが正しい形として富山県神社庁が勧める
起きているあいだだけ開ける 考え方の一つ
祭りの日だけ開ける 神社に倣うならこうなる、という仮定の話

同庁は、扉の開け閉めに確かな決まりはないとしています。

誤解3:神宮大麻は大きいものほどよい

大きさは三種類あり、神棚や祀る場所に合わせて選べばよいと神社本庁は案内しています。大きさでご神徳が変わるわけではない、と伊勢神宮も説明しています。

もうひとつ、「へぇー」を

江戸時代後期、伊勢の御師が配ったお札「御祓大麻」は、全国の世帯のおよそ9割に届いていたとみられています。家々でそれを祀った「大神宮棚」が、今の神棚の始まりとも言われます。

編集:へぇ助

神棚についてのよくある疑問

Q. 下げたお供えは家族で食べてもよい?

A. 東京都神社庁も北海道神社庁も、供えた物を下げたあと家でいただくことに触れています。お米や塩も、捨てずに日々の食事に回せば無駄になりません。

Q. 神棚の拝み方は、神社と同じ?

A. 伊勢神宮は家庭での作法として、深いお辞儀を二回、拍手を二回、深いお辞儀を一回という順を示しています。拍手の回数などが神社によって異なる例は神社での参拝の流れと拍手の回数が違う神社で紹介しています。

Q. 引っ越しなどで神棚をしまうときは?

A. 神棚をやめる場合も、お札を粗末にしないことが前提です。富山県神社庁がまず勧めるのは、神棚ごと新しい住まいへ移して祀り続けること。事情があって続けられないときに限り、お札を神職のいる神社に引き取ってもらう方法を案内しています。

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出典・参考